はじめに
近年、お掃除機能付きエアコンの普及が進んでいます。自動でフィルター掃除をしてくれる便利な機能ですが、「お掃除機能があるからクリーニング不要」というのは大きな 誤解 です。実はお掃除機能の範囲は限定的で、エアコン内部の汚れやカビまで除去することはできません。
定期的な エアコンクリーニング を行わないと、以下のようなリスクがあります。
- 目に見えないカビやダニの繁殖
- 悪臭の発生
- 冷暖房の効きの低下
- 電気代の増加
- エアコンの寿命短縮
- 健康被害の可能性
エアコンは、私たちの生活に欠かせない家電の一つ。快適に、そして健康的に使い続けるためには、お掃除機能だけに頼らない、適切なメンテナンスが不可欠なのです。
お掃除機能付きエアコンの概要
お掃除機能の仕組みと限界
一般的なお掃除機能付きエアコンでは、フィルター自動掃除が主な機能となっています。フィルターに付着したホコリを、ブラシやローラーで掻き取り、ダストボックスに溜める仕組みです。
ただし、この自動掃除でフィルターの汚れを100%除去することは難しく、またエアコン内部の熱交換器やファンに付着した汚れは取り除けません。カビや雑菌の温床となるドレンパンの汚れも、当然、放置されたままです。
最近では、熱交換器やファンを自動洗浄する高機能なエアコンも登場していますが、頻度は1〜2ヶ月に1回程度。日々蓄積される内部の汚れを、完全に防ぐことはできないのが現状です。
メーカー別のお掃除機能の名称と特徴
メーカー | 機能名 | 特徴 |
---|---|---|
ダイキン | ストリーマ空気清浄 | 高速電子を放出し、カビ菌や悪臭成分を分解 |
三菱電機 | ハイブリッド空清 | フィルター自動掃除と内部乾燥運転の併用 |
パナソニック | エコナビ、ナノイーX | フィルター自動掃除と微細イオンによる空気浄化 |
日立 | ステンレスクリーン、ナノイオンミスト | 自動フィルター掃除と抗菌・防カビ効果 |
東芝 | ダストボックス自動清掃 | ダストボックス内のホコリを自動で圧縮・除去 |
シャープ | プラズマクラスター | 高濃度プラズマクラスターイオンで空気浄化 |
各社とも、フィルター自動掃除に加えて独自の空気清浄技術を搭載し、差別化を図っています。しかし、これらの機能もエアコン内部の汚れを根本的に取り除くものではありません。
お掃除機能付きエアコンのクリーニングが必要な理由
前述の通り、お掃除機能には限界があり、エアコン内部の汚れやカビを完全に除去することはできません。放置すれば、以下のようなトラブルを招く恐れがあります。
カビ・ダニの繁殖と悪臭
エアコン内部は、温度変化で結露が発生しやすく、細菌やカビが繁殖しやすい環境です。お掃除機能で取りきれない汚れは、菌の餌となって増殖を助長。ニオイの原因にもなります。
また、フィルターに溜まったホコリがダニを呼び寄せることも。ダニの死骸やフンが、カビと共にエアコンから室内に放出されるのは衛生的とは言えません。
冷暖房効率の低下と電気代の増加
熱交換器にホコリや汚れが付着すると、本来の熱交換効率が発揮できず、冷暖房の効きが悪くなります。室温が設定温度に達するまでに時間がかかり、その分余計な電力を消費することに。
吹き出し口の汚れで風量が低下したり、ファンの汚れで余分な負荷がかかったりするのも効率低下の原因です。
エアコンの寿命短縮
熱交換器やファンを含むエアコン内部の汚れを放置すれば、本体の寿命を縮めることにもなりかねません。
カビや細菌の繁殖で部品が劣化したり、ドレンパンの詰まりで水漏れが起きたり。修理や交換のタイミングが早まるのは避けたいですね。
健康被害
エアコン内部のカビや雑菌が空気中に拡散すれば、アレルギー反応を引き起こす可能性も。目のかゆみ、くしゃみ、鼻水など、体調不良の原因になります。
小さなお子様やご高齢の方、呼吸器系の疾患をお持ちの方は、特に注意が必要です。
エアコンの内部は、目に見えない汚れが溜まっています。定期的なクリーニングで、エアコンの寿命を延ばし、健康被害を防ぐことができるのです。
お掃除機能付きエアコンを自分で掃除する方法
プロのクリーニングが最も確実ですが、日頃のお手入れはご自身で行うのがおすすめ。お掃除機能付きエアコンを正しく、安全に掃除する方法をご紹介します。
事前準備
- エアコンの電源を切り、コンセントを抜く
- 作業スペースに新聞紙などを敷いて養生
- 掃除道具を用意
- 掃除機(布団用ノズルがあると◎)
- ぬるま湯を含ませて固く絞った雑巾
- 中性洗剤
- スポンジ、歯ブラシなど
ダストボックスの掃除手順
- エアコンのパネルを開け、ダストボックスを取り外す
- 機種によって取り外し方は異なるため、取扱説明書を要確認
- ダストボックス内のホコリをゴミ箱で捨てる
- 汚れがひどい場合は、中性洗剤を溶かしたぬるま湯で洗う
- しっかりと乾燥させてから、元の位置に取り付ける
ダストボックスのホコリは、放っておくとカビの原因に。こまめな清掃を心がけましょう。
フィルターの掃除手順
- 両手でフィルターを取り外す
- 無理に引っ張らず、取り外し方を説明書で再確認
- 掃除機で表裏のホコリを吸い取る
- フィルターを浴槽などに浸け置きし、ぬるま湯で洗う
- 汚れがこびりついている場合は、中性洗剤を使用
- 裏表をしっかり乾燥
- 完全に乾くまで数時間かかることも
- フィルターを元の位置に取り付け、ロックする
フィルターのお手入れは、月に1回が理想。しっかり乾燥させることを忘れずに。
本体外側の掃除手順
- 柔らかい布で、本体の外側、吹き出し口、空気取り入れ口のホコリを拭き取る
- 汚れがひどい場合は、固く絞った濡れ雑巾で拭く
- リモコンも乾拭きする
注意点
- エアコン内部のファンや熱交換器に直接触れない
- 素人が分解を試みると、故障の原因に
- エアコン本体やリモコンを、水で濡らさない
- 洗剤は中性のものを使い、酸性・アルカリ性のものは避ける
- 市販のエアコン洗浄スプレーは使用しない
- 洗浄成分で故障したり、健康被害が出たりする恐れあり
プロによるお掃除機能付きエアコンのクリーニング
カビや汚れを確実に除去し、エアコンを清潔で衛生的な状態に保つなら、年に1〜2回はプロのクリーニングがおすすめ。価格は自分で掃除するより高くなりますが、その分、専門的かつ効果的な清掃が期待できます。
料金相場
お掃除機能付きエアコンのクリーニング料金相場は、1台あたり13,000円~20,000円程度。 エアコンの機種やクリーニング内容によって異なります。
お掃除機能なしのエアコンに比べると、3,000円~5,000円ほど割高な傾向。より複雑な構造ゆえ、分解と洗浄に手間と時間、そして高度な技術が必要とされるためです。
依頼の目安
エアコンクリーニングは、1〜2年に1回程度を目安に依頼するのがおすすめです。
ただし、以下のケースではより頻繁なクリーニングを検討しましょう。
- 喫煙者や小さなお子様、ペットがいるご家庭
- 1日の使用時間が長い
- 海の近くなど塩害の影響がある地域
- 窓の開閉が少なく、換気が不十分
- ニオイやエアコンの風が気になる
プロのクリーニング内容
専門業者のお掃除機能付きエアコンクリーニングは、主に以下の工程で行われます。
- エアコンカバーを取り外し、養生を施す
- フィルターとお掃除ユニットを取り外す
- お掃除ユニットは、構造が非常に複雑
- 高圧洗浄機とエアコン専用洗剤で、熱交換器やファンを洗浄
- 分解したパーツを一つ一つブラシ洗い
- 乾燥後、再組み立て
フィルターやファンはもちろん、ドレンパンや配管の奥まで入念に洗浄。カビや汚れを残さず除去します。洗剤や水を使っての清掃が基本となるため、専門の機材と技術、そして細心の注意が不可欠です。
プロのエアコンクリーニングは、機材と専門技術で徹底的に汚れを落とし、見えない部分の衛生面もしっかりケアしてくれます。
業者選びのポイント
- お掃除機能付きエアコンのクリーニング実績が豊富か
- 対応可能な機種を事前に確認
- 損害保険の加入や作業品質の保証制度はあるか
- クリーニングの工程や料金体系が明確か
- 追加料金の有無をチェック
- 口コミやレビューで評判を確認
信頼できるプロに依頼し、エアコンを衛生的で快適な状態に保ちましょう。
お掃除機能付きエアコンを清潔に保つコツ
快適で衛生的なエアコンライフのために、普段から意識したいポイントをおさらいしましょう。
フィルター掃除の習慣化
自動お掃除機能に頼るだけでなく、月に1〜2回程度のフィルター掃除を習慣化。目に見えるホコリをこまめに除去することが、エアコン内部を清潔に保つ第一歩です。
使わないときはエアコンを停止する
エアコンを使用しないときは、こまめに電源を切るのも汚れ防止に効果的。不要な結露を防ぎ、カビの発生を抑えられます。
換気を怠らない
エアコン使用中も適度な換気を心がけることで、湿気を逃がしカビを防ぐことができます。
1日の終わりには、30分ほど窓を開けて空気を入れ替えましょう。エアコン内部の除湿にもつながります。
プロのクリーニングを定期的に
年に1〜2回のプロのクリーニングが、エアコンを清潔で快適に保つ秘訣。
目安は以下の通りです。
- 通常使用の場合:2年に1回
- 喫煙者やペット、小さなお子様がいる家庭:1年に1回
- カビやニオイが気になったら:早めに依頼を検討
お掃除機能付きエアコンも、定期的な手入れとプロのメンテナンスで、長く清潔に使い続けることができます。
まとめ
お掃除機能付きエアコンは、便利な自動掃除で手間を省けますが、内部のカビや汚れを完全に防ぐことはできません。
快適で健康的なエアコンライフのためには、こまめなフィルター掃除と年1〜2回のプロのクリーニングが不可欠。それこそが、エアコンを長持ちさせ、大切な空気を守る方法なのです。
- 自動フィルター掃除に頼りすぎない
- 普段から換気を心がける
- ホコリや汚れが気になったら早めに対処
- 定期的にプロのクリーニングを依頼する
日々の正しいお手入れと、プロのメンテナンスを組み合わせて、エアコンを清潔で快適な状態に保ちましょう。